アサリがとれる馬島の潮干狩り=田布施町
原田知篤さん
皆さん、今朝の食卓のみそ汁にアサリは入っていましたか。「地産地消で地元でとれるものを」と意気込みたいところですが、残念なことに県内で水揚げされるアサリは年間数トン。四半世紀前の83年には8557トンの水揚げがあり、減少率は全国の都道府県で最悪とされます。潮干狩りの楽しい思い出がつくれるはずの身近な干潟のようすも激変しています。なぜなのか、どうすればよいか考えてみました。
(三輪節生)
◆マテ貝が主役に
柳井市伊保庄の海岸で9日、近くの柳井南中学校(川嶋隆志校長)の生徒69人がマテ貝掘りをした。県漁協柳井支店青壮年部=酒井章部長(45)=が2年前から取り組んでいる海草のアマモ増殖に協力している同校。生徒たちはクワで干潟の表面を削り、マテ貝の巣穴を見つけてはペットボトル入りの塩を置き、殻を出したマテ貝を採るのを面白がっていた。だが、酒井さんらによると、この海岸ではかつてアサリがたくさんとれていたという。
潮干狩りの獲物がマテ貝というのは県内の主な干潟で共通した傾向だと、県水産研究センター内海研究部(山口市)の多賀茂・専門研究員は話す。県内では01年にアサリの水揚げが年間1千トンを割り554トンに。03年からは数トンまで落ち込み、06年はわずか4トン。県によると、県内の瀬戸内海側の干潟は92年時点で2338ヘクタールで、以降は大規模な埋め立てはほとんどない。にもかかわらずアサリが激減した原因は何なのか。
瀬戸内海区水産研究所(広島県廿日市市)の浜口昌己・藻場・干潟環境研究室長は「周防灘は、風や潮流など環境の変化でアサリの幼生が干潟に着底しにくくなっている。瀬戸内海では公害の反省から窒素などの排出規制が続いた一方で栄養塩が少なく、アサリのえさになる植物性プランクトンが少ない。チヌやナルトビエイの食害もある」と複合的な要因を挙げる。
◆福岡、毎年20億円
アサリの一大産地・有明海でも水揚げが一時期減り、熊本県や福岡県では有明海の再生を目指す。福岡県では03年から毎年20億円の予算をつけて、アサリの稚貝が定着しやすいよう、柳川市沖などで海砂をまいている。熊本県は05年から資源回復計画を進め、小さな貝を採らないよう自粛している。
県内でも、豊かな恵みをもたらす干潟を再生しようと、県自然保護課が事務局となっている「椹野川河口域・干潟自然再生協議会」が04年から生態系を守る活動を始め、山口市の椹野川河口でアサリ漁場再生を目指して干潟を「畑を耕すように」掘り返すボランティア活動も続く。同課によると、今年4月に試験的に貝掘りをしたところ、40キロのアサリがとれたという。
一方、県が09年度予算に藻場干潟保全対策費として用意したのは1360万円。ナルトビエイ駆除費なども含まれるが、アサリ漁場再生ばかりの事業ではない。魚介類の産卵や隠れ場となるアマモの藻場は増えつつあるが、いまのところ県内でアサリの潮干狩りを楽しめるのは、田布施町の離島・馬島のエビ養殖場跡などに限られている。
■キーワード~アサリと干潟■
砂に泥が混じった河口の干潟などで多く見られる二枚貝。全国の消費量は約8万トンとされるが、06年の国内の水揚げは3万4984トン(農林水産省調べ)。1個の貝が1時間に1リットルの水をこし取るという実験結果があり、干潟の浄化能力が見直されている。干潟は全国で96年現在4万9380ヘクタール。工場用地造成や干拓で過去約50年間で約4割減ったという。
◆◇潮干狩り著書ある音楽家の原田さん◇◆
潮干狩りに関する著書もある県内出身のオーボエ奏者原田知篤さん(59)=写真、横浜市青葉区在住=はふるさとのアサリの水揚げ激減に「生命力が強いアサリが激減したのは想像を絶する状況だろう」と驚く。阿東町生まれで小学生のころまで山口市で過ごし、幼いころの体験が潮干狩りへの興味をかき立てたという。
県内のアサリ激減について「瀬戸内海は潮流が速く、埋め立てや海砂採取などが影響しているのではないか。アサリは生まれて3週間ぐらいプランクトンの状態で漂流し着底するが、その場所がないと増えない」とみる。
横浜市では、市が造成した金沢八景そばの人工海浜でアサリがよくとれ、この春は約4万人が訪れた日もあったという。原田さんは「潮干狩りの楽しさを子どもたちが体験できないとしたら、干潟への関心も薄れる。アサリなどには水を浄化する役割もある。魚は深い海だけでは生きていけない」と干潟を守ることの大切さを指摘する。
原田知篤さん
皆さん、今朝の食卓のみそ汁にアサリは入っていましたか。「地産地消で地元でとれるものを」と意気込みたいところですが、残念なことに県内で水揚げされるアサリは年間数トン。四半世紀前の83年には8557トンの水揚げがあり、減少率は全国の都道府県で最悪とされます。潮干狩りの楽しい思い出がつくれるはずの身近な干潟のようすも激変しています。なぜなのか、どうすればよいか考えてみました。
(三輪節生)
◆マテ貝が主役に
柳井市伊保庄の海岸で9日、近くの柳井南中学校(川嶋隆志校長)の生徒69人がマテ貝掘りをした。県漁協柳井支店青壮年部=酒井章部長(45)=が2年前から取り組んでいる海草のアマモ増殖に協力している同校。生徒たちはクワで干潟の表面を削り、マテ貝の巣穴を見つけてはペットボトル入りの塩を置き、殻を出したマテ貝を採るのを面白がっていた。だが、酒井さんらによると、この海岸ではかつてアサリがたくさんとれていたという。
潮干狩りの獲物がマテ貝というのは県内の主な干潟で共通した傾向だと、県水産研究センター内海研究部(山口市)の多賀茂・専門研究員は話す。県内では01年にアサリの水揚げが年間1千トンを割り554トンに。03年からは数トンまで落ち込み、06年はわずか4トン。県によると、県内の瀬戸内海側の干潟は92年時点で2338ヘクタールで、以降は大規模な埋め立てはほとんどない。にもかかわらずアサリが激減した原因は何なのか。
瀬戸内海区水産研究所(広島県廿日市市)の浜口昌己・藻場・干潟環境研究室長は「周防灘は、風や潮流など環境の変化でアサリの幼生が干潟に着底しにくくなっている。瀬戸内海では公害の反省から窒素などの排出規制が続いた一方で栄養塩が少なく、アサリのえさになる植物性プランクトンが少ない。チヌやナルトビエイの食害もある」と複合的な要因を挙げる。
◆福岡、毎年20億円
アサリの一大産地・有明海でも水揚げが一時期減り、熊本県や福岡県では有明海の再生を目指す。福岡県では03年から毎年20億円の予算をつけて、アサリの稚貝が定着しやすいよう、柳川市沖などで海砂をまいている。熊本県は05年から資源回復計画を進め、小さな貝を採らないよう自粛している。
県内でも、豊かな恵みをもたらす干潟を再生しようと、県自然保護課が事務局となっている「椹野川河口域・干潟自然再生協議会」が04年から生態系を守る活動を始め、山口市の椹野川河口でアサリ漁場再生を目指して干潟を「畑を耕すように」掘り返すボランティア活動も続く。同課によると、今年4月に試験的に貝掘りをしたところ、40キロのアサリがとれたという。
一方、県が09年度予算に藻場干潟保全対策費として用意したのは1360万円。ナルトビエイ駆除費なども含まれるが、アサリ漁場再生ばかりの事業ではない。魚介類の産卵や隠れ場となるアマモの藻場は増えつつあるが、いまのところ県内でアサリの潮干狩りを楽しめるのは、田布施町の離島・馬島のエビ養殖場跡などに限られている。
■キーワード~アサリと干潟■
砂に泥が混じった河口の干潟などで多く見られる二枚貝。全国の消費量は約8万トンとされるが、06年の国内の水揚げは3万4984トン(農林水産省調べ)。1個の貝が1時間に1リットルの水をこし取るという実験結果があり、干潟の浄化能力が見直されている。干潟は全国で96年現在4万9380ヘクタール。工場用地造成や干拓で過去約50年間で約4割減ったという。
◆◇潮干狩り著書ある音楽家の原田さん◇◆
潮干狩りに関する著書もある県内出身のオーボエ奏者原田知篤さん(59)=写真、横浜市青葉区在住=はふるさとのアサリの水揚げ激減に「生命力が強いアサリが激減したのは想像を絶する状況だろう」と驚く。阿東町生まれで小学生のころまで山口市で過ごし、幼いころの体験が潮干狩りへの興味をかき立てたという。
県内のアサリ激減について「瀬戸内海は潮流が速く、埋め立てや海砂採取などが影響しているのではないか。アサリは生まれて3週間ぐらいプランクトンの状態で漂流し着底するが、その場所がないと増えない」とみる。
横浜市では、市が造成した金沢八景そばの人工海浜でアサリがよくとれ、この春は約4万人が訪れた日もあったという。原田さんは「潮干狩りの楽しさを子どもたちが体験できないとしたら、干潟への関心も薄れる。アサリなどには水を浄化する役割もある。魚は深い海だけでは生きていけない」と干潟を守ることの大切さを指摘する。












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